チンチラとは///

[チンチラという生物]

 今や中規模以上のペットショップはいないところはないのでは?っと思うほどメジャーなチンチラ。チンチラ飼育の歴史は、元は、ブルーフォックスなどと並ぶ高級毛皮用としての生産を目的としたものです。乱獲に頼るのではなく、安定した生産のために確立した飼育方法でしたが、そのかわいさ、愛くるしさに惹かれた人々が愛玩動物として飼い始め、今日に至っています。



[チンチラの正体]

 チンチラは分類学的には、

齧歯目 Rodentia

  ━ ヤマアラシ亜目 Hystricognathi

    ━ テンジクネズミ上科 Caviomorpha

      ━ チンチラ科 Chinchillidae

        ━ チンチラ属 Chinchilla

に属します。簡単にかいつまんで言えば鼠の一種です。毛皮の名残で「チンチラうさぎ」などと呼ぶ人がいますが、うさぎは重歯目なので、正確に言えば「チンチラねずみ」ですね。しかしチンチラネズミという名前の生物が他にいるので、これも間違いです。ちなみにチンチラネズミはチンチラとデグーのあいのこですね。生活環境はデグー寄りです。

 さてさて、我々が普段目にするチンチラの学名は

Chinchilla lanigera

といいます。チンチラ属には3種(C.brevicaudataC.costinaC.lanigera)が含まれますが、このlanigeraが一般に現在ペットとして飼育されているチンチラです。



[歴史のおべんきょ]

 チンチラの原産は、南米はアンデス、標高の高い所です。あの世界遺産、インカ帝国のマチュピチュなどがあるあたりです。インカ人とともに平和に暮らしていたと察しています。
 ところが16世紀、野蛮人たちの到来でスペイン領となり、インカ帝国は滅亡しました。そして金などの財宝だけでなく、西洋人たちの手によってチンチラの毛皮としての乱獲が始まります。18世紀から20世紀初頭にかけてもっとも多く乱獲されたとされ、絶滅寸前にまで個体数が減少しました。
 現在はワシントン条約によってチンチラ属全種が保護されています。その為日本で売られているチンチラの多くは、国内で繁殖された個体、またオランダなど一部の地域から継代され輸入された個体が全てです。



[きもちい毛皮の正体]

 チンチラはその生態のもふもふ部分のほとんどがけです。飼育してみると分かるのですが、意外と狭いところも簡単にすり抜けます。要は「身がない」ということです。だっこするときも毛皮に照準を合わせてつかむと手を抜けてしまいます。

 さて、この手触りの良い毛ですが、その正体は副毛だけであると言うこと。毛には主毛と副毛があり、普通は一つの毛穴から主毛が生え、その周りに副毛が生えます。しかしチンチラはこの主毛が退化し、ほぼ副毛だけで毛が構成されるため、この手触りになるそうです。一本の毛穴から生える副毛は50〜100本と言われ、これも高級毛皮と呼ばれる所以でしょう。



[おわりに、少し考えてみませんか?]

 かんぱん王国は、チンチラをちんちらと平仮名で表記しています。これは誤変換ではなく、チンチラと書いてしまうと、なんとなく教科書に出てくる実験動物や毛皮用動物を思わせてしまうために平仮名表記にしています。本当は学名に準じて書く方がよいと思うのですが、この様な理由で平仮名で書いています。


 毛皮を着る目的って何だと思いますか?

 さて、みなさんはちんちらが好きでこのページにもたどり着いていただけてるかと思います。あなたはチンチラを殺せますか?我々は殺せません。それでは殺せないのは、またかわいそうだと思うのはちんちらだけで、きつねやたぬきは殺せますか?
 確かに人間は従属栄養生物です。栄養の面だけでなく、元は毛皮も生きるためには必要な物でした。氷河期、我々の祖先が生き残ったのも、尊い命の毛皮などで防寒できたためでしょう。
 しかし、現代、毛皮が必要でしょうか?確かに一部の僻地に住んでいる方、また昔ながらの風習を重んじながら生きている先住民の方もいます。しかし貨幣文化が根付き、近代文明で生きている我々に必要でしょうか?壁が薄く、暖房がない家にお住まいでしょうか?現代文明のどこに毛皮の必要性があるでしょうか?命を絶たない防寒服もたくさんあると思います。ファッション面はフェイクじゃいけないでしょうか?
 生きるために食べることは、仕方がないことではなく、当然なことです。決してベジタリアン的な意見ではありません。生きるために毛皮は必要でしょうか?私どもは必要ないと感じています。
 今でもデパートに行けばチンチラの毛皮も買うことが出来ます。毛皮は、その品質を保つために生きている状態で皮を引きはがします。こんな事が現代に許されてはいけないと我々は思っています。しかし業者だけが悪いわけではありません。それを買う人が最も罪深いのではないでしょうか?卵と鶏の起源の話は決着がつきませんが、毛皮は誰も買わなくなれば無くなります。
 単にかわいいと言うだけでなく、せっかくなのでこの機会にちんちらというのがどこから何のために人間界に入った生物なのか、そしてそれと同様の動物が他にもいると言うことに気付いていただけるチャンスになれば幸いです。